日本女子大に見る定員厳格化「緩和」の影響を2023年度入試データで確認してみました。

にほんブログ村 その他生活ブログ 家計管理・貯蓄(40代)へ にほんブログ村 受験ブログ 大学受験(本人・親)へ

今年度の大学入試トピックのひとつに、入学定員厳格化の「緩和」があります。その影響を日本女子大を例に検証していきます。

入学定員厳格化とは

国が定める定員基準を超えて入学者を出した私立大学への補助金をカットするというものです。国は2016年度から2018年度にかけて段階的に基準を厳しくし、最終的には定員の1.1倍(大規模校の場合)としました。

これにより大学は従来よりも入学者数管理を厳格に行なう必要が出てきたため、正規合格者(1回目合格者)を従来より少なめに出し、辞退者に合わせて補欠合格や追加合格を少しずつ出すようなやり方を取るようになりました。

受験生にとっては合格のハードルが上がるだけでなく、五月雨で合格発表が続くこととなり、併願校への入学金二重払いなどの金銭的問題や4月直前まで入学先が確定しないなどの弊害が多く見られるようになりました。

入学定員厳格化の「緩和」とは

そのような弊害を抑えるため、国は2023年度入試からは学年ごとでなく全学年合計での基準と改めました。ある年度の入学者が基準を超えてしまっても、全学年で基準を超えていなければOKとしたのです。

入学定員厳格化の「緩和」の影響

この数年行われてきた五月雨、小出しの合格発表が減ることが期待されています。その一方、ある年に合格者を多く出してしまった場合は翌年に少なめにするなどの調整が行われ、前年結果によって合格難易度が変わってしまう可能性も囁かれています。

昨年の日本女子大学の状況

さて、ここからは日本女子大を例にとっての話となります。

この大学も例に漏れず五月雨で補欠繰上げ合格者を発表して来ました。しかも発表日は受験生に前もって知らされることなく、大学側の都合の良いタイミングで3月末までパラパラと発表されるような酷い状況でした。

ちなみに昨年度の繰上げ発表は2/24、2/25、2/28、3/7、3/9、3/10、3/23、3/24、3/25に行われ、発表終了のお知らせはなんと3/31という有り様でした。某掲示板では、いつ来るか分からない繰上げの知らせを待ち続けて精神的に疲弊しきってしまった補欠候補者が数多く見受けられました。

今年の日本女子大はどう変わったのか

先日、その日本女子大が正規合格者と補欠候補者の発表を行ない、入試データ(共テ利用後期を除く)を開示しましたので、厳格化「緩和」の影響を見ていきたいと思います。

 

まずは募集人数から。5%程度減らしたようです。募集人数は緩和の影響を受けないはずなので単に受験生人口の減少を見越して一般入試の募集を減らし、推薦等の別方式での募集を増やしているのかもしれません*1

募集人数

そしてこちらは受験者数。誤差レベルですが微減(▲1.3%)です。緩和の影響は見られません。

受験者数

そして最も影響を受けると思われる正規合格者数補欠候補者数

正規合格者数と補欠候補者数

むむ、これはどう捉えれば良いのでしょうか。。正規合格者数を300人近く減らし(▲7%)ており、緩和どころかより厳しくしたようにも見えます。募集数を減らした(▲5%)ことの影響が大きく出ているかもしれません。どちらにしても受験生にとって厳しいことに変わりありません。

一方、補欠候補者の数も300人以上の減(▲28%)と相当数絞り込んできたことも分かります。語弊あるかもしれませんが、1ヶ月以上もの間、無為に繰上げ発表を待たされる受験生の数が減ることを意味しているのでこれは朗報と言えます。厳格化緩和の影響と言うよりも、大学側が過去の実績に基づいて辞退率の予測精度を上げ、不必要な補欠候補を出さない努力をした結果かもしれません。繰上げ率が上がることを祈りたいですね。

また、これは掲示板情報のため信頼性は測りかねますが、合格発表に合わせて繰上げ発表日程が受験生に知らされた模様です。事実であればこれもまた大学側の改善努力の結果じゃないでしょうか。昨年までの酷い状況を知るだけにこれらの改善は素直に評価したいところです。

こうして見てみると、今年度の日本女子大は緩和を受けての正規合格者数を増やすなどの方針転換はせず、入学者数を確実に基準以内に収めるよう従来通りの考え方で臨んだと言えるかもしれません。ただその中でも改善すべき点を改善し、受験生の負担が減るよう努力した跡は見られます。

これからの繰上げ発表を経て、最終的にどの程度の合格者を出すのか、繰上げ率はどの程度になるのか興味を持って見守りたいと思います。

 

終結果の状況はこちら

wellbalancedlife.hatenablog.com

 

受験生の皆さん、暖かな春はもう間近。頑張って乗り切って下さい。

 

*1:2023年度から募集数39名の学校推薦型選抜(公募制)を開始