投資歴20年、今思うこと

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投資を始めて20年以上が経ちました。その間さまざまな出来事がありましたが幸いなことに今でも資本市場に残り続けることが出来ています。市場に残り続けることこそが資本主義社会の恩恵にあずかる最良の手段と考えていて、どんな下げ相場でもポジションをゼロにすることはせずここまで来ました。

 

ただ、昨年あたりから一時的に資本市場から完全に降りてもいいかもしれないと思い始めるようになりました。堅苦しいし悲観的な見方で面白くないかもしれませんが、そのことについて今日は書き留めておきます。

 

■資本市場に参加する意味

資本主義とは企業が投資家から集めた資本を元に付加価値を生み出し、原価以上の価格で提供することで利益をあげ、その利益を投資家に還元するシステムと言えます。利益は配当という形で投資家に還元されるため、資本を提供さえすれば庶民な私であっても企業収益のおこぼれに与ることが出来る訳です。それこそが市場に参加する意味です。

 

■市場における株式価格の形成

多くの投資家が参加する市場において株式の価格は将来期待される配当に基づいて合理的に形成されますが、投資家(投機家を多数含む)が常に合理的な行動をとる訳ではないため、歪んだ価格になることが頻繁にあります。

短期的な株の価格変動に応じて売買を繰り返すこととはすなわち、その歪んだ価格のサヤを抜くことに他なりません。

 

■市場参加者の偏り

市場にはその時の社会情勢や経済情勢によって偏った行動をとる参加者が増える(絶対数もしくは相対的な割合が増える)ことがあります。そしてそのような時は価格の歪みも非常に大きくなるため、サヤ抜きで大きな儲けを得たというような話が出回るようになります。普段は資本市場に興味の無い人もサヤ抜きの誘惑に駆られて新規に参加するようになり、雪ダルマ式に市場参加者の偏りが大きくなります。

  

■偏りの起こる背景

・行き過ぎた過剰流動性の供給

景気が下向くと中央銀行は市場に十分なマネーが流れるよう政策金利を引き下げます。また政府は積極的な財政政策を取ることで民間の需要不足を穴埋めし、景気を下支えます。

金融面においては現在の日本はマイナス金利が常態化していて伝統的な金融政策による景気刺激策が限界を迎えているため、日銀はETFREITなどのリスク性資産を継続的かつ大量に買い入れるような禁じ手に踏み込み、こちらも常態化してしまいました。財政面ではコロナ対策を通じて各方面に大量のマネーがばら撒かれています。

このような各種政策を通じて市場に供給された大量のお金のことを過剰流動性と呼び、これらが行き場を求めて市場をさまようになると実態に合わない価格での取引が増え、市場価格に偏りが生じます。

 

・金融機関や国家破綻をきっかけした信用収縮

金融機関や国家財政が破綻(デフォルト)し、金融市場がパニックを起こすようなことが過去に何度もありました。金融市場にいったん不安が生じると、市場参加者はリスクを減らすため投じていた投資資金を一斉に回収に走るようになり、逆の偏りが発生します。膨張した市場であればあるほど逆回転の勢いは激しいものになります。

 

・革命的(と思われるが実は何だかよく分からない)技術の発現

従来なかった技術が生まれ、その技術が実際の経済に役立つか分からない段階にあっても市場参加者は将来を予測して投資を行ないます。稀に世界経済に革命的な変化をもたらす技術が「想像」されることがあり、その想像が非合理的であっても、市場参加者の大勢がその想像を信じるようになると、市場に偏りが発生します。

 

■なぜ資本市場から降りることを考え始めたか

この記事を書いている2021年2月現在、市場参加者の偏りは行き着く所まで行ってしまった感があります。

 

端的に言えば資産バブルが現在進行形で進んでいると感じています。

 

人類史上最低の金利中央銀行や政府による未曾有の大量資金供給、ビットコインに代表される価値に裏付けが無い資産(と呼べる代物なのかも不明)への過剰な期待と投資、ロビンフッターによる株価操縦、アフターコロナ後に需要があるのか分からない都心の再開発ビル群や人気(ひとけ)の無い高層マンション群、旧車やウイスキーなどの異常な価格高騰、違和感しか感じないのが正直なところです。

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bitcoin

投資を始めてからの20年間、後から振り返ればバブルだったという時期には必ず何かしらの違和感を感じていたことを思い出します。それでも今までは資本市場に留まり続けました。ただ、今回ばかりは何かとてつもない怪物が潜んでいるような気がしてなりません。

市場の見えない怪物に対するリスクヘッジとして現物資産に資金を移動するということ、それを選択肢のひとつに入れる時期が近づいて来た気がするのです。

 

■あとがき

もしかするとこの異常な状態が常態化し、ニューノーマルな時代が既に始まっているのかもしれません。アフターコロナ経済への期待もあり、モンスターが現れるのはまだ先になるかもしれません。10年後に振り返った時、今がバブルなのかニューノーマルの黎明期なのか分かるのだと思います。